冷えとりと歯痛
冷えとり健康法の肝要な点は、排毒の力(自然治癒力)を利用して溜まっている毒(食べすぎ、ストレス、薬等)を体の外に出し、体の状態を良くする事にあります。
その毒だしに関して、進藤義晴先生の著書を読むと歯痛あるいは虫歯に関する記述があります。
冷えとり健康法の考え方は納得でき、非常に共感できるものですが、この点については異論があります。
まず歯痛と虫歯の区別が曖昧なのです。
歯痛には、歯自体が痛むもの、歯を支える組織が痛むもの、歯が痛い様に感じるものがあります。
虫歯は歯自体が痛くなる代表的なものです。
痛みを感じる様になった虫歯はかなり進行した虫歯です。普通は歯自体に大きな穴が開いているはずです。
この様な状態になった歯は元にはもどりません。そのまま放っておいても虫歯の穴はなくなりません。
次に虫歯が進行して歯の中にある歯髄(一般的に神経と言われるものです)が炎症をおこした状態を歯髄炎といいます。
この時の痛みは強烈です。歯は痛みを感じる歯髄のまわりを硬い組織(エナメル質、象牙質)でおおわれています。
組織は炎症が起きると充血します。まわりが柔らかければ腫れますが、歯髄はまわりの硬さのため内部圧力が上昇します。
それ故痛みが強いのです。
その状態を放っておくと、歯髄は壊死してしまいます。歯髄が壊死すると痛みはなくなります。
ただ勘違いしてほしくないのは、痛みがなくなったからといって決して歯が治った訳ではないのです。
病巣が歯の根の先端にできてしまっているのです。
この病巣の細菌に体が負けてしまうと再び痛み出します。この時腫れを伴うことが多いのです。
歯は構造上、内部にある歯髄は別ですが、其のほとんどが無機質で出来ています。
細胞は未分化であればあるほど再生しやすいのです。残念ながら歯は再生しません。
一度虫歯で穴が開いてしまった歯は治りません。
但し、ごく初期の虫歯でお口の手入れがよければ治ってしまうことがありますが、細胞の再生とは違います。
では穴が開いてしまった歯をそのままにしておくとどうなってしまうのでしょうか。
咀嚼する時は何も意識しなくても食べようとするものに合わせて顎を動かします。
今までの経験から「この食べ物はこの位の硬さだからこの位に顎を動かそう」と自動的に判断し、
また歯の繊細な感覚器官を使い無意識にその食べ物に最適な顎の動かし方と位置を選びます。
この時咬み合う部分に穴が開いていて咬んだ時痛いと、その部分を意識して避けようとします。
こういう状態ではとても自動的にうまく咀嚼することなどできません。
最初の臓器である歯を使って、食べ物をよく噛んでよくすり潰さないと内臓に負担がかかってきます。
冷えとり健康法で述べている、食べすぎずに少食であるためにはよく噛まなければならないはずです。
歯に穴の開いた状態ではよく噛むことはできません。
良く噛むことが出来るようにかみ合わせの面を作ってあげなければなりません。
それ故歯科治療が必要なのです。
歯を支える組織が痛むものとしては、歯周病、歯肉炎があります。
全てそうであるとは言えないけれど、これらは進藤先生のいうように毒だしのような気もします。
ただ、だからと言って治療しないほうがいいとは思えません。
これらの病気はお口の中での、細菌との戦いの結果の表れなのです。
体が健康なうちは症状がでていなくても、局所レベル(細菌と細胞の接触する部分)では常に細菌との戦いがあります。
お口の中を清潔にして細菌の数を減らしたほうがいいに決まってます。
それを歯みがきで行っているわけです。歯みがきだけでは不十分、あるいは出来ない事を歯科治療でしているのです。
しかしお口の領域の病気には、お口の中で治せるものと、自然治癒力=免疫力を上げないと治せないものがあるのです。
お口のなかは、内臓の状態と似ています。お口のなかが歯周病で酷い状態の人は、内臓も酷い状態であることが多いのです。
そういう意味では毒だしがお口のなかで行われているのかもしれません。
冷えとり健康法の「症状を抑えこまずに排毒する。」という考え方は非常にすばらしいのですが、
歯痛に関しての記述は残念に思います。